生まれて初めて秋田に来た。秋田の空気は澄んでいて、半袖だと昼は涼しく夜はひんやり肌寒い。道路は広く、高層ビルはほとんどなくて、開けた街並みが続いている。そんな居心地の良い街並みを一人気ままに歩いていて、ふと思った。競争に縛られない暮らしができたらどんなに幸せかと。世俗から離れて、自由気ままに、自然の中でのんびり暮らせたら、不安や心配を感じることなく心穏やかに暮らせるのではないかと。
これまでずっと競争社会で生きてきたと思う。高校入試、大学入試、就職活動、、、。今やっている研究だってそうだ。希望のポストに就くには他の候補者との競争を勝ち抜いて採用試験に合格しなけらばならない。研究費を獲得するためにはほかの人よりも魅力的な研究計画書を出さなければならない。同僚の研究進捗や課外活動、論文執筆の進捗が耳に入ってきて、自分の状況と照らしあわされる。競争に勝ち続けなければ、将来の不安要素が増えていく。
オセロもそうである。オセロは対人ゲームだ。勝負の世界は残酷で、試合の数だけ勝者と敗者が生まれる。大会に出たら順位がつく。オセロ連盟内でも、対局アプリでも、レーティング制度によりランキングがずっとついて回る。
でも、オセロをずっと続けることができているのは、おそらく勝敗とかを気にする以前に、オセロが楽しいと思う気持ちがあるからだと思う。
今私が生きている生活だと、順位とか、勝つこととかにのみ価値を見出していてはおそらく息苦しくなる。研究のことも好きだが、まだ好きな気持ちよりも他人に勝たなければならないという焦りが勝っているのだろう。その強弱関係が逆転すれば、秋田の街を歩く私の感じ方も変わるかもしれない。
でもやはり、世俗から離れて自然の中でのんびり暮らす生活にはあこがれる。欲張りなのでどっちの選択肢も体験してみたいが、同時にはできないところが人生という感じがする。
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